帰り道の弱気

実家から神戸に戻る日はとてつもなく弱気になる。
明日から仕事に戻れるのか?
明日からまた母はひとりで寂しいだろうか?
なんで転勤なんかしてしまったんだろう。などなど。
神戸の家に着いてしまえば何でもないことはわかっているので、
着地点であるその“何でもない気持ち”に視点をおいて、
とにかく何も考えないようにして実家を出る。


今日は特にそんな気持ちが強くて、
実家を出て坂道を歩きながらちょっと泣けた。
こんな時にはタクシーの運転手さんに助けられることが多い。
今日もそうだった。
カープの話や政治の話を広島弁でべらべらと。
弱気が夕焼け空にまぎれていく。


帰り道も5階の本屋さんへ行くのが決まりのコース。
心細さをごまかすようにいつも何冊か購入。
今日は3冊。
買ってなかった「日々ごはん10」(高山なおみ)も。
高山さんの文章が泣きたい気持ちを鎮めてくれる。


今日の弱気は新幹線に乗ってからも続き、
涙をこらえすぎて頭が痛かった。
えぃっ!と氷結を飲んで、仲良しにメールしてみたら、
“カノンさーん(>_<)おかえりなさい♪”と返事が。
あぁ、私には神戸にも“おかえり”と言ってくれる人がいるんだなあ。
と違う意味で涙をこらえる。


神戸について家に入ってかばんを置いたら、
やっぱり思った通り何でもないことだった。
GW前の日常が戻ってきただけだった。
ほらね。と自分に言いながら片付けて、ほうじ茶を飲んだ。


***今日の一曲
     Chega De Saudade 〜Joao Gilberto