2004年の春の私。

睡魔と闘いつつ、5時半起床。
朝のお勤めへ。
今回泊まったのは、宿坊っぽいところなので。

雨の中、
お勤めする場所、護摩供養する場所、
お茶とお菓子が出る場所、
と、靴を脱いだり履いたりしながらの移動が、
とても気が重かった。
イカットのスニーカーは旅に禁物。
って、1月の18きっぷ旅もこの靴だったけど。

お勤めは、まあよかったけど、
思ったよりは厳粛な気分にならなかった。
なぜだろう。
靴に気を奪われていたせい?

次回はもっと、厳しい宿坊に泊まってみたい。
中途半端に「お客様」的に扱われるより、
どうせなら、
ゴハンを残したらしばかれるくらいの、
お勤めで姿勢を崩したら怒られるくらいの、
そういうところに行ってみようと思う。
「お客様」気分なら、どこでも味わえるんだし。


大雨なので、タクシーを呼ぶ。
“荷物置いてコーヒー飲んで、どこに行くか考えようかー”
と話していると運転手さんが、
“何も駅でコーヒー飲むことない。おいしいとこがあるよ”
というので、つれてってもらうことに。

コーヒーとパンがものすごくおいしく、
窓の向こうは一面の桜。
流れる音楽はジャズ。
日常の緊張や凝り固まった心が、
一気にじゅわー。ととけてゆくようだった。
ガイドブックに載っていない、
ゆっくりと桜を眺められるこんな場所、
自分たちだけじゃきっと探せなかった。

といっても、京都市内はどこもかしこも桜だらけ。
本数がケタはずれだし、どの樹もとても立派だった。
どこを通りかかっても、大盤振る舞いに咲いているから、
もぅ、笑いがこみあげるほどだった。

そして桜並木をゆっくりと通り抜けてもらい、
京都駅で運転手さんとお別れ。
このタクシーに乗れてよかったです。
ありがとう。


駅に荷物を置いて、向かうのはイノダコーヒー。
またコーヒー?
数年前のことをお互い振り返ってみたり。

行き止まりな結婚を解消して、
とてもほっとしたけど、
今思えば、やっぱりしんどかったよね、
でも、もう忘れちゃったよねー。
とか。

あの時は、いろんな気持ちを抱えつつ、
突っ走るしかなかった。
少し経った今、友達はどうかわからないけど、
私は失速気味だった。
何も、速く走り続けなくてもいいし、
ちょっと立ち止まるときもあってもいいし、
あの時と同じように走らなくてもいいのだけど、
“離婚した”というエネルギイだけで走る時期は、
もう終わってしまったみたいだった。
でも、友達のエピソードをきいていると、
ものすごくエネルギイが湧いてきて、
離婚当初よく思っていた、
“自分の道は間違ってない”
という気持ちを思い出した。
この先、何が待っているのか、
自分の人生、どんなふうに味付けしてやろうか、
というあの気持ち。


少し前の日記にも書いたけど、
だんだんと失望することが増えて、
人生は寂しくて無常だ、という気持ちが大きくなる。
でも、失望が増える分、自由は大きくなるし、
明るい気持ちが失われるわけではないし、
その中からまた何か見つかるだろう、
と思いたい。


錦市場へ。
京野菜玉子屋さんに魚屋に乾物屋。
漬物屋にお菓子屋にお米屋。
たのし〜い。
子どもの頃、あの玉子屋さんで
出し巻きを買った記憶がある…。
交差している寺町通と新京極も満喫。
チープでかわいい服や雑貨を見る。
とてもかわいい帽子があったけど、
頭頂部の裁断と縫製がイマイチ、と、
友達に却下される。

てくてく歩きまくる。

子どものときの記憶のせいか、
京都はずっと、あまり好きではなかった。
でも、2年前くらいに来たとき、
なんだかとても楽しくて、
自分の中の京都のイメージは払拭された。
上書きされたというかなんというか、
違う色で塗り替えられた。
今は、京都がとても好き。
また住んでもいいと思えるくらいに。

友達のつけていた香水がよいカホリだったので、
ミニボトルの同じカホリを買う。
香水だなんて、何年ぶりかな。
たぶん、10年以上前にアニエスb.のを買って以来。

楽しい旅だった。
ひとり旅もいいけど、
友達と一緒だと、また違った景色が見えてくる。

***今日の一曲
     終わりなき旅  〜Mr.Children