ポケットに詰め込んで。

全席指定のムーンライト山陽
今回は、席運がなかった。というかなんというか。
朝までほとんど眠れず。
が、騒がしい人は皆無で、車内はとても静か。
そういう意味では、快適だった。

「キップ拝見」の人にクギヅケ。
あまりにも、ともだちに似ていた。
特に鼻のあたりが…。くくっ。
心の中で大笑い。

18きっぷを初めて使ったのは、
1988年の冬くらいだったか。
一番モトを取ったのは、10年以上前の広島〜横須賀。
友達と3人、しりとり歌合戦をしたり、
巾着袋やスカートを縫いながら(?笑)、
ガタゴト揺られたものだった。
最後に乗り換えた横須賀線だけ、座れなくて、
一気に疲れが噴出したことを覚えている。


さて。
到着した京都を回るか、
それとも、まだまだ電車を満喫するか、
朝の気分で決めようと思っていたけど、
ねむくてよくわからなくなってきてしまった。

頭が動かないので、候補の筆頭だった、
イノダコーヒーで「京の朝食」を食べる”を決行。
早朝すぎて、車も人も居ない烏丸通
ちょいと迷ったけど、無事到着。

のれんをくぐる入り口は町屋風。
中に入ると、違うイメージ。
スマートなふるまいのウエイターさん。
高い天井。
語り合う常連客。
ガイドブック持った旅人。
ここが本でよく見たあのお店かー。
野菜の味が濃くて、とてもおいしかった。
食べ終わっても、しばらく、ぼーー。

目はだいぶ覚めた。
せっかく来たんだから、満喫するのだ。
三条通を歩いて、鴨川へ。
土手まで降りてみる。
この辺で、いつも大文字送り火を見たものだった。
久しぶりにまた見たいなあ。

よく来ていた頃は、
おじいちゃんもまだ生きていて、
おばあちゃんも、シャンシャンしていた。
帰りに“田ごと”で、蕎麦や丼ものを食べるのが、
もうひとつの楽しみだった。
私もイトコたちも大人になってしまって、
もう、おじいちゃんにぶらさがって歩いていた、
子どもじゃないんだなあ、と思う。


東大路通りに出たので、
先に“進々堂”に行くことにした。
なんとなくバスに乗る気がせず、安易に歩き始めたが。
どうやらすごく遠い。
目印の京大にようやくついたと思ったら、
京大は果てしなく広く大きく、
右折したい交差点は、はるかむこうなのだった。
ううむ。と思いながらも、がしがし歩く。
やっぱり京都は暑い気がする。
木々が多いせいか、セミの声もよく聞こえる。
空には、秋のような雲と入道雲が両方。
時折見える学内では、
トランペットを練習する学生や、
サークルの看板などが目に入る。
「英語に飽きたらエスペラント語
ていう看板にはウケた(笑)。

やっと見えた「百万遍」の標識。ひー。
近くには、“比叡山ドライブウェイ 7km”の看板。
やっぱし、相当歩いたらしい。

ようやくたどりついた進々堂
大きな木のテーブルに長椅子。
相席が、かえって心地よいかんじ。
薄暗い店内で、BGMはない。
木のひんやりした感触。
冬は冬で、またいいんだろうなあ。
木のぬくもりが感じられて。
濃い目のコーヒーがおいしい…。
窓の外には、京大。
とっても気に入ってしまった。また来よう。
近所だったら、毎日通うかも。
こんな佇まいの家に住みたい。

次はおとなしくバスに乗る。
京散歩には欠かせない、神宮道へ。
美術館と図書館と大きな鳥居の存在感が、
独特の雰囲気をかもし出していて、大好き。

目的だった、おそばやさんは、
また開店していなかった。残念…。

東山三条の“田中人形”を見るといつも、
♪さんーじょひがしやーま たなかにーんーぎょーーぅ
と、心の中で歌ってしまう。
今でもあのCM、やってるのかな。

次は、三十三間堂。久しぶりだなあ。
じっと見る。
端までたどりついたとき、
ずらりと並ぶ観音様たちを、横から見てみた。
圧巻。と同時に、なんていうか、
おだやかな表情たちから、
おだやかパワー?が襲いかかってきて、
なんだか、じいんとしてしまった。
廊下に、
“うれしいのは手ごたえ
   悲しいのは口ごたえ”
という言葉が貼ってあったのが
なぜだか印象的だった。

京都駅に戻り、近鉄プラッツ。
無印の「季節の品のお買い得品」は、
広島よりもお買い得になっていた。
5階の本屋。
ばなな氏の新刊、今日買えれば最高だったのにな。
発売までは、あと1週間。

ポルタ。
おろしそばセットで昼食。
つめたいおろしそば、かやくごはん、
あったかいだしまき、お吸い物。
とてもおいしかった。

帰路。
快速電車で爆睡。
側頭部をガラスにぶつけまくることにも
慣れてしまったそのとき、
ものすごい音と、違う衝撃で目が覚めた。
窓の下んとこの角で、
目の下の頬骨を強打したのだった。
…痛い(怒&恥)。

三宮で降りて、シュビドゥビと
TOOTH TOOTHに行こうと思ってたのに、
ねむくて降りられなかった。ザンネン。

足の裏のタコがひどくなったらしく、
痛いなあ…と、靴を脱いで見てみたら、
タコではなく、大きな水ぶくれだった。
靴と靴下の組み合わせが悪かったらしい。

まどろみながら、揺られる電車。
薄目で外を見ると、
山や田んぼや家々が淡々とあり、
なんとなく、ほっ。として、また寝るのだった。
いろいろ取っ払った自分の気持ちも、
やわらかく、かつ、強くハッキリ見えた気がした。

岡山で乗り換えるとき、
バニラアイスを買って持ち込む。
おいし。

行くときにも見た、
ボーダフォンの赤い看板に出迎えられ、
ブジ到着。20:00前。
ホントは、まだあと4時間、
このきっぷでどこかに行けるのかと思うと、
そんなきっぷを持っているだけでうれしかった。

また、いろいろがんばろう。

ダイマー。

***今日の一曲
     LIFE is...  〜平井 堅